「吸いません」と「吸わないようにします」は何が違う?意思の強さで考える文法【8月2回目の文法会レポート】
8月2回目の文法お悩み相談会では、JICテキスト31章〜40章を中心に、学習者から質問が出やすい文法について考えました。
その中で今回ご紹介したいのが、「タバコを吸いません」と「タバコを吸わないようにします」の違いです。
どちらも「タバコを吸わない」という内容を表しているように見えますが、学習者から「何が違うんですか?」と聞かれたら、みなさんならどう説明しますか?
今回の文法会では、ちほみ先生の解説から、この2つの違いを考えるときに大切な「意思の強さ」という視点を学びました。
「吸いません」と「吸わないようにします」は何が違う?
文法会では、まず「タバコを吸いません」と「タバコを吸わないようにします」を比べました。
ちほみ先生の解説では、「吸いません」「食べません」「飲みません」「行きません」のようなシンプルな言い切りは、実は意思がとても強い表現です。
たとえば「お酒を飲みません」と言えば、「飲まない」という意思をはっきり示しています。
一方、「お酒を飲まないようにします」と言うと、「飲まないようにはする」という気持ちはありますが、そこにはまだ少し余地があります。「もしかすると飲んでしまうかもしれない」という気持ちも残っています。
私はこの話を聞いて、文法の違いを「意味」だけではなく「本人の意思がどのくらい強いのか」で見るという考え方が、とてもおもしろいと思いました。
どちらが正しいかではなく、どちらが気持ちに合っているか
「吸いません」と「吸わないようにします」のどちらが正しいのか、という話ではありません。どちらも正しい日本語です。
違うのは、その人が今どのくらい強くそう思っているのか。
ちほみ先生の解説では、意思が100%に近いのであれば「飲みません」のようにシンプルに言い切ります。一方、そこまで自信がなければ「飲まないようにします」のような表現になっていきます。
文法会では、さらに自信がなくなっていくと、「つもりです」「多分」「かもしれない」など、いろいろな言葉をつけながら気持ちを調整していくという話にも広がりました。
ここで私が改めて感じたのは、文法は単に「この場面ではこの形を使う」と覚えるものではないということです。
自分が今どんな気持ちなのか。その気持ちに一番合う日本語は何なのか。
そこまで考えて言葉を選ぶことが、実際に日本語を使うということなんですね。
文法を見ると、話している人の気持ちも見えてくる
ちほみ先生は、文法と言葉の心理はとても強く結びついているという話もしていました。
たとえば、誰かが何かについて「やります」と言い切れば、「この人はやると決めているんだな」と感じます。
一方で、「やろうと思っています」「多分やると思います」のように言葉が加わっていくと、「まだ少し迷っているのかな」「完全には決まっていないのかな」と、その人の気持ちも見えてきます。
日本語を母語として話していると、私たちはこうした違いをあまり意識せずに使い分けています。でも、日本語を学ぶ人にとっては、そこがとても難しいところです。
だからこそ、日本語教師側が「意味はほとんど同じです」で終わらせず、「この表現を使うと、相手にはどんな気持ちとして伝わるのか」まで考える必要があるのだと思いました。
学習者の気持ちに合う日本語を一緒に探す
今回の文法会で印象に残ったのは、「文法項目を教えること」そのものがゴールではないということです。
たとえば学習者が「お酒を飲まないようにします」と言ったとき、それが文法的に正しいからOK、と終わらせるのではありません。
本当に絶対に飲まないと決めているのか。それとも、飲まないようにしたいけれど自信はないのか。
その人の本当の気持ちによって、ぴったりくる日本語は変わります。
ちほみ先生の文法の教え方では、「この文法を使わせる」というより、学習者が伝えたい意思や気持ちを見ながら、それに合う日本語を選べるようにしていきます。
この視点を持つだけで、文法の教え方がかなり変わるなと感じました。
文法は「正しい日本語を作るため」だけではない
今回の文法会を見て、改めて印象に残ったのが、ちほみ先生の文法に対する考え方です。
文法は、正しい形の文章を作れるようになるためだけに学ぶものではありません。
「絶対にやる」「できればやりたい」「まだ少し自信がない」など、自分の中にある気持ちや意思を、できるだけ自分の感覚に近い日本語で相手に伝えるためにあります。
そして、自分の気持ちに合う日本語を選べるようになれば、相手にも自分の意思がより正確に伝わります。
文法を教えることは、単にテストで正解できる日本語を教えることではなく、学習者が日本語を使って人とコミュニケーションを取り、よりよい関係を作っていけるようにすることにもつながっている。
今回の文法会では、そんな文法の奥深さを感じることができました。
学習者が実際に使える文法の教え方を学びたい方へ
わくキャンの日本語の教え方講座「JIC文法なるほどプログラム」では、このような視点から文法を学んでいきます。
ただ「この文型の意味はこれです」「この形を使えば正解です」と覚えるのではなく、学習者が実際の会話の中で使えるようになるにはどう教えるのか、その日本語を使うと相手にはどんな気持ちとして伝わるのか、学習者自身の意思や気持ちにぴったり合う日本語をどう選べるようにしていくのかを、ちほみ先生が文法項目ごとに解説しています。
また、「正しい日本語」だけではなく、日本語を通して相手とよりよい関係をつくり、「愛される日本語」を話せるようになるという視点も大切にしています。
「文法の意味はわかるけれど、学習者にどう説明すればいいかわからない」
「テキストに書かれている説明だけでは、実際のレッスンでどう教えればいいか迷ってしまう」
「正しい日本語だけでなく、自然に気持ちが伝わる日本語を教えられるようになりたい」
という方は、JIC文法なるほどプログラムの詳しい内容をご覧ください。
まずは無料で日本語の教え方やイベント情報を受け取りたい方は、わくキャン公式LINEもご利用いただけます。






日本語教師のための役立つ学びを、公式LINEでお届けしています
教え方のヒントや、わくマガジンの新着記事、無料ウェビナー・講座・イベントの最新情報をご案内しています。
日本語の教え方を、基礎から体系的に学びたい方へ
ちほみ先生のEラーニングで、日本語のしくみと教え方を学べます。